旅の途中 - ユキニフル.mp3

旅の途中 - ユキニフル.mp3
旅の途中-ユキニフル (无损音质) 专享
[00:00.00] 作词 : 宏川 露之 [00...
[00:00.00] 作词 : 宏川 露之
[00:01.00] 作曲 : ein himinn
[00:31:28]容赦ない雨。
[00:33:04]濡れたわたしの全身に、それでもまだ叩きつけるように降り注いでいる。
[00:40:93]身体中が痛む。なんとか目を開く。視界からは、たいした情報は得られなかった。
[00:54:18]数時間前と変わらない景色から、まだわたしは生きている、ということだけはわかった。
[01:08:24]服は捨て置かれていた。どうにか身体を起こして、身に纏う。
[01:15:63]キリグモには、ほとんどの荷物を持っていかれていた。通信機も奪われていた。
[01:25:96]涙は出なかった。
[01:28:43]でも、泣いてしまったほうが、楽だったかもしれない。
[01:33:82]わたしが生き延びたのは、通信機のおかげだろうか。
[01:39:29]発信中の音色が、キリグモの興味を引いたんだろう。
[01:45:25]あの音色……。
[01:47:86]だめだ。思い出せない。
[01:51:85]あんなに何度も聴いた音なのにどうしても思い出せない。
[01:58:08]──ぼくの旅は、ここで終わりなんだ。
[02:02:77]その言葉が頭の中を繰り返し巡った。
[02:09:09]「ノラエ……」
[02:13:29]わたしの旅は、まだ終わるわけにはいかない。
[02:19:04]立ち上がって、濡れた服に袖を通し、裸足のまま靴を履く。
[02:25:65]全身の不快感だけが、わたしのそばにあった。
[02:32:20]靴に染み込んだ雨水を、かかとが押し出すのを感じながら、わたしは一歩を踏み出した。
[02:44:52]数時間、土の上を歩き続けた。明け始めた空。
[02:52:19]少しずつ下っていく道の先に、新しい景色が広がる。
[02:58:86]背の高い建物があった。塔のように見える。
[03:05:00]てっぺんの数字のマークは、ノラエから聞いたことがある。
[03:09:86]ずっと昔には、どんなものでも揃っていて、溢れるように人が出入りしていた、ショッピングモールという施設。
[03:20:47]いつか一緒に行ってみたいと、ノラエはわたしに言ってくれた。
[03:26:76]一日中探索してもし尽くせないらしいよと、楽しそうに語るノラエを思い出す。
[03:39:20]少しだけ、進む力が湧いてきた。
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